- 2006.03.22 Wednesday
- WBCを通じて感じたこと
- 21日アメリカ・カリフォルニア州サンディエゴで行われたWBC決勝、日本は強豪キューバを破りみごと初代王者に輝きました。
大会の開催時期などさまざまな面で賛否あったものの、気がつけば日本中がその結果に一喜一憂していました。
一時はあきらめかけたその世界一という称号が日本野球に与えられた瞬間、これはなにものにも変えがたい感動を多くの人にもたらしたことでしょう。
ここまでにこの大会が盛り上がることが予想できたでしょうか。
日々伝えられた王監督はじめ代表選手のコメントや、アメリカ戦での審判問題、韓国チームとの3たびの対戦。
いろいろなきっかけがありましたが、野球というスポーツがどんなものかを多くの人に知ってもらうには最高の舞台となり日本野球にとってもたくさんのものを得られた価値ある大会だったと感じました。
先日韓国・ソウルへ行く機会がありました。
ちょうど2次リーグで日本が韓国に2敗目を喫した時です。
韓国での盛り上がりはどうなのだろう、と思いながらの渡韓でしたが地下鉄の駅売り新聞には韓国チームの活躍が大きく取り上げられ、イ・スンヨプ選手やイ・ジョンボム選手の写真がたくさん出ていました。
町で乗ったタクシーの若い運転手に、ためしに野球の話をしてみると熱心に話をしてくれました。
彼は2次リーグでの韓国の勝利を知り「日本には負けない。」と言いました。
そしてふいに彼が韓国で盛り上がっているひとつの要素を教えてくれました。
それは日本代表イチロー選手の発言、WBCアジアラウンド前に語ったコメントのことでした。
強い日本を世界にアピールできる場として、その興奮の高まりを表現した言葉だったと記憶しているのですが、韓国ではこの発言を取り上げて大きく報道されたそうです。
韓国チームのファンからイチロー選手へ浴びせられたブーイングもこのためです。
その若い運転手も「イチローがあんなこと言うから」と語気を荒げます。
韓国チームのファンは「なめられている」と感じたそうです。
そして運転手はこう続けます。
「スポーツだけでなく、経済でも文化的なところでも韓国は今急激に成長を遂げている。韓国人はどんどんより上を目指し、今その成果が見えようとしている。だから野球でも世界一を目指すんだ。」
18日、日本との準決勝ではソウル市内のチャムシル球場(写真)に3万人ものファンが集まりまた市庁前では2万人が試合の行方を観戦したそうです。
サッカーW杯での韓国の盛り上がりも記憶に新しいですがそれに負けない声援が韓国国内からも送られていました。
ただのスポーツとしてではなく、韓国がいろいろな分野において世界の中にその位置をアピールしていこうとする中での、自国への強い思いがWBCへの熱い思いにリンクしていたのではないかとその運転手の言葉を思い出し、改めて感じました。
移動のタクシー車内という短い時間でしたが、一人の運転手から韓国の熱いこころを聞き、その熱さにふれられたことは野球を通じて世界を見る中で貴重な経験でした。
最後に彼はこうつぶやきました。
「今、野球はアメリカと日本が一番強いんだ。日本は韓国に2敗したが、野球と同じように経済や文化の面でもこのままじゃ日本は韓国に抜かれてしまうよ。」
初代王者の栄冠は決して消えることのない、すばらしい栄光です。
そして日本野球がこれからもっと大きなものになるためのきっかけとしてとても大切なものをもたらしてくれたと思います。
ここを見てくださるタイガースファンのみなさんも、その日本野球と関わる一人としてきっと何かをつかんだのではないでしょうか。
そしてきっと、もっと野球が好きになったと思います。
タイガースを代表して参加した藤川選手、久保田選手をはじめ代表チームの選手、スタッフのみなさん、お疲れさまでした。
そして感動をありがとうございました。
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ヤキュウが最高だった 日本勢いが勝因と米国報道 【ニューヨーク21日共同】WBCを制した日本について、米メディアは日本の勢いを勝因に挙げた。その勢いは、2次リーグ、メキシコ戦での米国の予想外の敗戦がもたら