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WBCを通じて感じたこと
21日アメリカ・カリフォルニア州サンディエゴで行われたWBC決勝、日本は強豪キューバを破りみごと初代王者に輝きました。
大会の開催時期などさまざまな面で賛否あったものの、気がつけば日本中がその結果に一喜一憂していました。
一時はあきらめかけたその世界一という称号が日本野球に与えられた瞬間、これはなにものにも変えがたい感動を多くの人にもたらしたことでしょう。

ここまでにこの大会が盛り上がることが予想できたでしょうか。
日々伝えられた王監督はじめ代表選手のコメントや、アメリカ戦での審判問題、韓国チームとの3たびの対戦。
いろいろなきっかけがありましたが、野球というスポーツがどんなものかを多くの人に知ってもらうには最高の舞台となり日本野球にとってもたくさんのものを得られた価値ある大会だったと感じました。

先日韓国・ソウルへ行く機会がありました。
ちょうど2次リーグで日本が韓国に2敗目を喫した時です。
韓国での盛り上がりはどうなのだろう、と思いながらの渡韓でしたが地下鉄の駅売り新聞には韓国チームの活躍が大きく取り上げられ、イ・スンヨプ選手やイ・ジョンボム選手の写真がたくさん出ていました。
町で乗ったタクシーの若い運転手に、ためしに野球の話をしてみると熱心に話をしてくれました。
彼は2次リーグでの韓国の勝利を知り「日本には負けない。」と言いました。
そしてふいに彼が韓国で盛り上がっているひとつの要素を教えてくれました。
それは日本代表イチロー選手の発言、WBCアジアラウンド前に語ったコメントのことでした。
強い日本を世界にアピールできる場として、その興奮の高まりを表現した言葉だったと記憶しているのですが、韓国ではこの発言を取り上げて大きく報道されたそうです。
韓国チームのファンからイチロー選手へ浴びせられたブーイングもこのためです。
その若い運転手も「イチローがあんなこと言うから」と語気を荒げます。
韓国チームのファンは「なめられている」と感じたそうです。

そして運転手はこう続けます。
「スポーツだけでなく、経済でも文化的なところでも韓国は今急激に成長を遂げている。韓国人はどんどんより上を目指し、今その成果が見えようとしている。だから野球でも世界一を目指すんだ。」

18日、日本との準決勝ではソウル市内のチャムシル球場(写真)に3万人ものファンが集まりまた市庁前では2万人が試合の行方を観戦したそうです。
サッカーW杯での韓国の盛り上がりも記憶に新しいですがそれに負けない声援が韓国国内からも送られていました。
ただのスポーツとしてではなく、韓国がいろいろな分野において世界の中にその位置をアピールしていこうとする中での、自国への強い思いがWBCへの熱い思いにリンクしていたのではないかとその運転手の言葉を思い出し、改めて感じました。
移動のタクシー車内という短い時間でしたが、一人の運転手から韓国の熱いこころを聞き、その熱さにふれられたことは野球を通じて世界を見る中で貴重な経験でした。

最後に彼はこうつぶやきました。
「今、野球はアメリカと日本が一番強いんだ。日本は韓国に2敗したが、野球と同じように経済や文化の面でもこのままじゃ日本は韓国に抜かれてしまうよ。」

初代王者の栄冠は決して消えることのない、すばらしい栄光です。
そして日本野球がこれからもっと大きなものになるためのきっかけとしてとても大切なものをもたらしてくれたと思います。
ここを見てくださるタイガースファンのみなさんも、その日本野球と関わる一人としてきっと何かをつかんだのではないでしょうか。
そしてきっと、もっと野球が好きになったと思います。

タイガースを代表して参加した藤川選手、久保田選手をはじめ代表チームの選手、スタッフのみなさん、お疲れさまでした。
そして感動をありがとうございました。




キャンプ打ち上げ
長いキャンプが終わりました。
最終日の安芸(高知)は午前中で練習を終了し、午後チームは帰阪しました。
練習後のグラウンド、打ち上げの輪の中心で赤星選手会長が
「センターポールにもうひとつ上の旗がつけられるよう」
と言ったように、チーム全体がセ・リーグ連覇そして日本一へ
というさらなる上の目標に向かい、毎日の練習を積み重ねたキャンプでした。

今年のキャンプは天候に恵まれました。
例年雨が多い時期と言われる宜野座(沖縄)でも
雨が降るのはいつもキャンプ休日や、練習終了後で
選手はあまり天候に左右されることなく調整を続けられました。
グラウンドを担当する阪神園芸のスタッフの尽力は、
夜に大雨が降っても翌日には万全のグラウンドコンディションを選手に提供しました。
宜野座村や安芸市の地元職員、宿泊先ホテルのバックアップは
選手にいい体調で臨める環境、練習に打ち込める環境を与え、
また多くのファンにできるだけ多く見学してもらえるよう環境が作られました。
キャンプを担当した新聞や雑誌、テレビ局などの取材担当者により
選手たちが練習に励む様子が連日いろいろなところで報道され、
見学に来ることができないファンや選手の家族にも
キャンプ地の様子が映像で、文字で届けられました。
そして、キャンプ地を訪れるファンや全国から届く励ましの声は
選手たちが目標へ走る何よりの原動力となったはずです。

1ヶ月間のキャンプの中では、チームのために
本当にたくさんの人々が関わり、そして支えていることが分かります。
選手はキャンプを通じ、練習を積んで多くのことを得るのと同時に
自分たちのチームを支える多くの人がいることも
さらに強く実感するのではないでしょうか。
1ヶ月のキャンプを振り返り、改めてキャンプの意味を考える1日でした。